設立の趣旨


  豊饒の海へ・・・

東洋の島国である日本において西洋古典を読み、古典文献と私たちが対峙するための方法を示し、また、その必要性を喧伝することを目的とする、小さな研究施設を立ち上げます。

 

第一線の研究と出版事業、そして古典語教育、この三つを活動領域として事業を展開していきたいと考えています。

 

みなさまのお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。

 

2013年4月

塾頭 安西 眞


三つの活動領域

 

古典文献学の方法論をふまえた校訂テクストや注釈書、もしくはこうした営為にしかるべき考慮を払った研究書の出版を目標とします。

左記の成果を視野におさめ、おもに執筆予定者を講師とするセミナーを開催します。

ひろく市民を対象として、古典ギリシア語およびラテン語の基礎教育および文献講読の機会を提供します。


学舎スタッフ


塾頭:

安西 眞(あんざい まこと)

 

東京大学 <西洋古典学研究室> に学ぶ

北海道大学名誉教授

古典文献学研究会を創設、学術雑誌

『フィロロギカ』初代編集委員長

 

著書に『ピンダロス研究 ― 詩人と祝勝歌の話者』北海道大学図書出版会(2002年)がある

講師・マネージメント:

堀尾 耕一(ほりお こういち)

 

東京大学 <西洋古典学研究室> に学ぶ

一橋大学、東京外国語大学、青山学院大学、放送大学等のほか、朝日カルチャーセンター・横浜* にて講師をつとめる

 

訳書に アリストテレス『弁論術』(新版アリストテレス全集18)岩波書店(2017年)がある

 

* 今期の横浜での授業はこちら


古典語学習のすすめ


主催者(塾頭)は、ながらく国立大学で西洋古典学を講じてきた者です。そして、かつて漢籍を読むということが日本人の「教養」の中で果たしてきた役割に似たものを、程度や規模こそ違え、西洋古典を読むということが分け持つべきだと考えています。西洋古典は漢籍と同じように、まさに「文明」に関わる文献であり、ひとが知的に生きるということは、我々の生きている世界の文明を理解し、それとつきあうことに他なりません。

 

ひろい意味での漢学は、今の制度的な言葉で言えば、多かれ少なかれ「おおやけ」の初等・中等・高等教育の人文・社会分野の核心を担い、そして同時に、社会の運営にどのようなかたちであれ関わる者たちの思想や行動の基礎となる「知」を提供してもきました。 漢籍と対峙して対話をすることが、いわば、社会の脳髄の役割を果たしてきたのです。

 

しかし現在、漢籍はかつてのような役割を果たすことができません。なぜなら、かつての漢籍の世界、つまり東アジアにおける「社会」をいま支配しているのは、漢文で綴られた古典に表現された文明ではないからです。ヨーロッパの古典、つまりギリシア語・ラテン語文献との対話をつうじて発展してきたヨーロッパの社会構成原理と、その血肉でもある「技術」とが、私たちの世界をも否応なく支配しているからです。

 

このような現状の中で、社会を理性的に営み、あるいは理性的に生きようとする人間たちに、ヨーロッパの古典と対話する力が必要であろう、という塾頭の思いは理解していただけるのではないでしょうか?